2015年10月23日
まれているよう

結婚式の準備を進めている時期に、彼がそう言い出した。婚約指輪もない、手ぶらのプロポーズの後の発言だったので、塔子は純粋に喜びを感じた。彼だって、何も考えていないわけではないのだ。しかし、その後の彼の言葉に、塔子は失望した。
「式で、交換しないといけないだろ非那甾胺? ないと困るじゃん」
ないと、困るから。そりゃそうだ。確かに、式を挙げるつもりでいるのならば、指輪の交換は必須だ。仕方がないから、買いに行く。彼の言葉には、そういったニュアンスが含まれているように感じた。
ちょっとした、不満。ちょっとした、寂しさ。そういった感情を味わったが、塔子は気にしない事にした。自分と同じように結婚に対して、人との付き合い方に対して HKUE 呃人、世の中との関わり合いに対して、人生観に対して、全く同じテンションで気持ちを共有したいと思うのは愚かな事だ。そもそも、不可能なのだ。自分を、自分の気持ちをわかってほしいと思う事すら、そもそも贅沢な欲望なのだ。塔子は自分にそう言い聞かせ、彼の発言を受け流した。
婚約指輪はなかったけれど、結婚指輪を買うならば、それでいいじゃないか。婚約指輪と違って、結婚指輪ならば、いつも付けていられる。高い物は望めないけれど、毎日身に付ける物ならば、本当に気に入った物を選びたい。どこで買うのがいいのだろう東芝 冷氣機? 雑誌をパラパラめくってみると、そこには美しい指輪がたくさん載っている。彼も身に付けるのだから、二人が本当に気に入った物を選びたい。キラキラと輝くリングを見ているうちに、塔子の心も美しく、浄化されていくような気がした。ページをめくる度に、耳元でリン、とした清らかな鈴の音が聞こえるような気がした。まだ手に入ってはいないが、見ているだけで、塔子は心が満たされていくのを感じた。