2014年06月24日
力こぶを競ったり

一日にいくども、ぼくもえんぴつを手にする。
だが何も書けない。
えんぴつは4Bか5Bの、芯が太くて軟らかいものを使っている。書くということに抵抗がなく、紙の上に素直にイメージを滑らせていける、その軟らかさを好んでいる。
だが今は、どんな軟らかいえんぴつも駄目だ。
かといって、便利な補助具のキーボードを叩いても、萎れた想念のドアをノックすることは難しい。
筆箱の中の、えんぴつの数を競い合ったことがあった。
ちびたえんぴつのような、ちんぽの長さを競った頃のことだ。
テストの×(バツ)の数を競ったり、指の切り傷を競ったり、力こぶを競ったり、背丈や体重を競ったり、ヒマワリの種をポケットいっぱいにして競ったり、いろんなものを競い合っていた。
サイコロのようにえんぴつを転がして、競うことはすべて遊びだった。
小さな勝利の先には、まだ見たことのない小さな夢があった。